NPO法人日進野菜塾では、作物栽培はできるだけ自然の力を生かし、農薬や化学肥料は使いません。
現在の栽培方法について、ご紹介します。(畑作物について)
1. 有機栽培と日進野菜塾の取組み
一般的に次のような区分が言われます。それぞれに良さがありますが、私たちは「有機栽培」でおこなっています。
慣行栽培 | 有機栽培 | 自然栽培 | |
全体特徴 | 化学肥料、農薬の使用を前提とし、国内で多くの生産者が取り組む栽培法。ほぼ体系化、マニュアル化されている。 | 化学肥料、化学農薬は原則的に使用しない。堆肥、有機質肥料で。自然生態との共存、調和をめざす。(生産者によって取組みにやや差がある) | いろいろなスタイルがあるが、「耕さない、草を抜かない、(肥料など)投入しない、自然の力」が原則。少数派だが関心は増えている。 |
自然との調和 | 生産優先 | 自然との共存 | 自然との共存、依存 |
使用する肥料、農薬 | NPK(チッソ、リンサン、カリ)を主体にした化学肥料。作物別の農薬使用(基準にもとづく) | 堆肥、ぼかし、有機質肥料(米ぬか、鶏ふん、魚粉その他)。農薬は使用しないのが原則。 | 投入しない。(もしくは米ぬか、油かすなど微量) |
その他特徴 | 肥料を作物に直接吸収させて育てる。(速効性) | 土づくりによって地中の微生物活動を活発にさせる。 | 無肥料で栽培できるまで、土づくりが必要となる。 |
- 日進野菜塾では当初、地元農家から慣行栽培での指導を受けました。
- その後、有機栽培スタイルを進めるようになり、有機農家の方法を学び取りいれながら、進めてきました。
- とくに次の方の考え方、方法を参考にさせていただいてきました。
〇金子美登さん(埼玉):国内有機農業者の代表的存在。
〇橋本力男さん(三重):たい肥づくり専門家。
〇佐々木さん(江南市有機生産者)
〇武田さん(日進市出荷農家)
2. 土づくりが基本
堆肥の投入を中心に、畑にすきこんだり、表面にかけたり(有機物マルで被覆)して微生物や小さな生きもの(ミミズなどの小動物)が豊かな土にしていくことをめざしています。
土づくり | 内容 | |
毎年1回、たい肥等の投入、すきこみ | 牛ふん堆肥、食品残渣堆肥、もみがらくん炭等をまき、トラクターですきこんでいます。 畑では作物をつくり、有機物を取り出すので、毎年一定量補てんします。 |
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ぼかし(追肥で) | 発酵肥料であり、地中微生物の働きを促進します。 | |
有機物マルチ(被覆) |
畑でつくったウネは、いつまでも「裸地」にしておくと雨風で土が固くなり乾燥します。 |
3. 使う有機材料(地元、購入、自家製造)
(1)利用している有機材料の一覧
有機材料 | 特徴 | 主な調達先 |
米ぬか | 堆肥やぼかしづくりの発酵促進剤として、また元肥や追肥の一部に。利用材料の中で使用量がもっとも多い。 | 豊田市米穀店で調達 |
鶏ふん | 元肥、追肥の材料に利用。比較的肥料分(チッソ)を含む。 | 豊明市の野村たまご製造(JA販売) |
堆肥 | ほぼ完熟に近いもみがら牛ふん。元肥もしくは堆肥づくり材料としても利用。 |
瀬戸の宮下牧場 |
せん定枝チップ | せん定した樹木を粉砕してチップ化したもの。肥料としての利用でなく、たい肥材料として、また有機物マルチの材料としても利用。 | 日進市内の武田造園さん |
油かす | チッソ分が多いので使用料は少な目。(製造者は日清) | |
もみがらくん炭 | もみがらをいぶしたもの。土壌改良効果が高い。 | JA(岐阜県) |
その他、木(竹)酢液等を使用することも。ストチュウも製造使用。 |
(2)日進野菜塾で自家製造している堆肥、ぼかし(発酵肥料)
堆肥 |
せん定枝と牛ふん堆肥のミックス型。(材料はせん定枝チップ、牛ふん堆肥、米ぬか、油かす、もみがらくん炭。) 一部野菜や雑草の残さをまぜて、約半年間で堆肥化したもの。有機物マルチとしてウネの表面に敷いたり、一部は元肥に利用。 |
ぼかし(発酵肥料) |
家庭でできた「段ボール生ゴミ堆肥」に米ぬか、油かす、もみがらくん炭を混ぜて、再発酵させたもの。追肥として使用。 |
4.「品種選び」と苗
その季節にあった代表的な品種を、できるだけ多種類・多品目栽培します。
毎年の気候によって不作のものがあっても、多品目栽培ならどれかが丈夫に育ちます。
また「コンパニオンプランツ」「共同コーナー」として他の作物も体験できます。
マイ区画 | 基本作物:「植栽図」参照 |
コンパニオン(ネギ、ハーブ) | |
共同コーナー | じゃがいも、さつまいも、スイカ |
その他 | さといも、しょうが、かぼちゃ、各種ハーブ類ほか |
種・苗は次のように調達しています。
調達先 | 内容 |
地元日進市内の育苗生産者から | ほとんどの苗は、決まった生産者に依頼し、購入しています。 (果菜類)(無農薬に近いが、一部の苗は消毒する場合がある) |
日進野菜塾の自家育苗 | 主に葉物類は、ビニールハウス内で苗をつくっています。(無農薬育苗) |
その他(地元JAや種苗店) |
5. ウネづくりと維持(メンテナンス)
(1)耕うんとウネ立て
土を耕したあと、ウネを立てます。ウネは野菜を育てる「ベッド」で、地面よりも高くつくることで、水はけを良くし、空気が横から入り根が呼吸しやすくなります。
(2)長期収穫作物は、ウネの中央部下に溝を掘り、堆肥を(あらかじめ)入れる。
ナス類を中心にしたウネ。深めに溝を掘る。
(3)ウネの維持メンテナンス
内容 | |
①水はけがよいか | ウネ間(ウネとウネの間の道の部分)に水がたまりやすくなっていないか。雨のあとに観察するとよくわかる。(たまっている箇所は水が流れるように) |
②中耕 | 野菜のまわり、間を草を掻きながら浅く耕すと空気が入り、生育がよくなる。 |
③土寄せ |
中耕したあとに野菜の株元に(中耕した)土を寄せる。 |
④有機物マルチ | 苗を植えた際に、苗のまわりの表面20㎝くらいに堆肥(野菜塾製造)でうすく覆う。(土が見えない程度) 苗や種の生育が進んだら、ウネの表面にチップや刈り取った草、稲わらなどで表面を被覆し乾燥や草を防ぐ。(表面が「裸地」にならないようにする) |
6. 雑草対策、生きもの
自然界には害虫もいれば、その天敵もいる。アブラムシは野菜の汁を吸う害虫、ナナホシテントウムシはそれを食べてくれる。
ナス科に多い虫~ てんとう虫とテントウムシダマシ |
ナナホシテントウムシによく似たテントウムシダマシ。葉や実を食べ、放っておくと増える。テントウムシは肉食だが、テントウムシダマシは草食系。見つけたらつぶしたい。 |